こんばんわ
これまで“マネジメント”をする上で大切だと僕が思う「考え方」の話はしてきたのですが、具体的に「なにをすればいいのか」は話してこなかったなと思ったので今回からは「なにをすればいいのか」をお話ししたいと思います。
まずは「PDCAサイクルだけを使うのはもう古い」
ということからお話しします。
- 時代は“スピード感”と“柔軟性”が求められている
- ビジネスサイクルはひとつじゃない。おすすめはOODA
- 共通認識とバランス
今回はこんな感じで行きます。
時代は“スピード感”と“柔軟性”が求められている
近年はトレンドのサイクルがとても早いというのは特に意識しなくてもみなさん理解できていると思います。
それは決して個人レベルの話ではありません。
パナソニックでは「社会全体のトレンドに対する新規事業開発は10年スパンで考えていたが、近年そのスピードは10倍以上になっている」と話しています(2018年時)
考えてみればSNSやインターネットが一般的になったのはここ最近の話だと思います。
Twitterは2008年、Facebookは2010年に日本にやってきました。
インターネットの隆盛、TwitterなどのSNSの発達によって情報発信が容易になったことがスピードに拍車をかけているように思います。
今日やっていることが明日にはもう遅れている
個人レベルでの情報の発信が可能になったことで、そんなことも大袈裟ではなくなってきているように思います。
企業は今“早すぎるトレンドを捉えるスピード感”、“移り変わる時代に対応する柔軟性”が求められています。
PDCAサイクルの詳しい説明は省きますが、そんな時代に順番に考えていくことは適しているのでしょうか
働いているうちにこう思ったことはないでしょうか
「“今”これをやりたいのにいちいち手順を踏まなきゃいけないから時間がかかりすぎる」
「いつまでたってもなにも改善されない」
「改善しようって会議をもう何回もしてる」
PDCAのサイクルを回せと言っているにも関わらず、いつまでも状況が変わらない現状を見たことはないでしょうか?
それはもしかしたら「PDCA に囚われてしまって、形骸化している」ことが問題なのかもしれません。
古い固定観念を取り払い、時代から求められているものを常にチェックし、柔軟性を持って、スピーディに行うことが必要なんです。
PDCAサイクルはそもそも1950年代に提唱されたサイクルです。
その時代はまだインターネットなどの技術が今ほど確立されていませんでした。
高度な計算を行うことが精一杯で今のような複雑なことはできませんでした。
もちろんビジネスというものはそれまでも行われてきたため、PDCAも現在まったく使えないものではありません。
技術も考え方も進化するべきである
ですが、それではあまりにも遅いのです。
ちょっと考えてみて欲しいのですが
1950年代というと冷蔵庫、白黒テレビ、洗濯機が「三種の神器」として国民の憧れとなった時代でした。
そして紅白歌合戦の第一回放送がされた時代です。
今その時に最新だったものを「これが大切なんだよ!!」と言われても納得できるでしょうか
「白黒テレビがすごいんだよ!!」とか言われたら「いやいや、そんな古いもんだしてくんなよ。今はもっと進化してるんだよ」と思いませんか?
もちろんそれがダメとは言いません。
古いだけなんです。
白黒テレビが広まらず、必要ないものとされていたら今のような、高解像度のテレビは開発されなかったでしょう。
70年前の知識や発明は、今の時代に求められるものの基礎となるとても大切ものなんです。
なぜなら、それがなければ後の発展なんてないんですから。
しかし一部の企業では70年前の知識をまるで最新の知識かのように今でも大切にしています。
もっと新しい考えがあり、時代に適したものがあるのにも関わらずです。
ビジネスサイクルはひとつじゃない。おすすめはOODA
PDCAなどの働く上で必要とされているサイクルも、今では色々なものが生み出されました。
機械技術が発達するとともにビジネスのあり方も変わってきたのです。
PDCAが一部の企業で今でも大切にされているのは「決して間違っているわけではない」からです。
基礎の技術で、知識なのですから当たり前です。
複雑な方程式を解くためには算数で足し算引き算を習うように、「間違ってはいないけれど、その問題を解くには適していない」というだけなのです。
例として何個かあげるので詳しくは調べてみてください。
- PDCA (plan,do,check,action)
- CAPD (check,action,plan,do)
- PDR (prep,do,review)
- OODA (observe,orient,decide,act)
- STDL (see,think,do,learn)
- FFA (feed forward,action)
色々ある中でもすぐに取り入れやすいという意味で僕がオススメしているのはOODA方式です。
OODAループ(ウーダループ)と呼ばれるものでもともとはアメリカ空軍のパイロットや指揮官の意志決定に関する手段として開発されたものでした。
1988年にハーバードの経営大学院が「民間のビジネスにおいても運用できる」と紹介しました。
2012年、2013年にも同様に紹介し、今ではシリコンバレーや欧米ビジネス界で基礎戦略として知られ、アメリカのビジネススクールでも教えられています。
少なくともPDCAよりも新しい知識です。
OODAループとは
OODA はobserve(観察)orient(状況判断)decide(意思決定)act(行動)の4つをループさせていくという考え方です。
あらゆるデータなどを収集し、あらゆる側面からそれを理解します。
そうして理解したことから行動指針を決定し、行動するという考え方です。
もともとは空軍で活用されていたことから、とてもスピーディであらゆる場面に対応できるという考え方です。
ここで大切なのは「全員が同じ方向に動いているか」ということです。
軍隊はとても強烈に全体の指針を徹底されています。そのためとても活用されやすかったのです。
しかし、一般の企業ではなかなかそううまくはいかないでしょう。
そのため、指揮官である人間が向かうべき到達点を強烈に意識させることでスピードが上がり、効率的に運用されます。
前述した通り、現代のビジネスにおいてスピードはとても重要です。
そのためこの方式を学んで運用するということを僕はお勧めします。
共通認識とバランス
スピード感と柔軟性を求められる現代社会において、OODAループで対応していくとします。
どうやって運用すればいいのでしょうか。
先にも挙げたように先導する人間が到達地点を明確にする必要があります。
一般に「船頭多くして船山登る」と言われるように、指示する人間が多くいても組織はおかしな方向に進んでしまいます。
そのため全体で「こんなことを作り上げていくんだ」という“共通認識”を意識する必要があります。
全体で“共通認識”を持ち、“OODAループ”を使うことであらゆる場面にスピーディに対応していくのです。
しかしPDCAサイクルに欠点があるように、最新の知識である“OODAループ”にも欠点があります。
先に挙げた到達地点などの共通認識がなければいけないというものがそれです。
あくまでも個人などの小規模においての行動、意思決定の効率化という面ではとても優秀なのですが、大規模になると運用がとても難しいのです。
簡単な話で“共通認識”というものは人数が増えれば増えるほど難しくなるから、という理由からです。
ではどうやってそれに対応すればいいのでしょうか。
そこで出てくるのがPDCAサイクルです。
PDCAサイクルは「plan(計画)、do(行動)、check(評価)、action(改善)」の4段階で行動するため、“計画ありき”のサイクルです。
そのため、計画を立てて、その通りに実行するということに関してはとても優秀です。
大規模な集団で行動するためには“計画”と“共通認識”がとても重要です。
そのためPDCAサイクルはOODAループの足りないところを補うことにとても適しています。
でもPDCAサイクルにはスピードがない、そこでOODAループを使う。
こうして両方を適した場面で使う「バランス」が大切になってくるのです。
- 大規模な集団の中長期的な行動計画を立てて行動する→PDCAサイクル
- 計画という共通認識を持って、大人数を部署ごとに分けた少人数でスピーディに行動する→OODAループ
こういったバランスをとることが柔軟性とスピード感を持った行動には必要なんです。
まとめ
いかがでしょうか
「PDCAサイクルだけを使うのはもう古い」
- 時代は“スピード感”と“柔軟性”が求められている
- ビジネスサイクルはひとつじゃない。おすすめはOODA
- 共通認識とバランス
は理解してもらえたでしょうか。
これからは集団の規模、期間など様々な要因に合わせて適切な方式を使っていく。
それが重要だと考えます。
PDCAサイクルだけではなく、様々な方式を学び、今自分がいる集団に何が足りないのか、どんな知識がそれを補ってくれるのかを見るということはとても重要だと思います。
その中で僕がおすすめするのは、「OODAループを学ぶ」ということです。