こんにちは
今回はちょっとネガティブなことをなんとかポジティブに考えてやろう、と思って考えてみました。
今回は「仕事を失ったらどうなるのか?」ということです。
僕は「いまの仕事を失ったぐらいじゃ人間は死なない」と思っています。
その理由も含めてお話しします。
とても繊細な内容も含んでいます。
「自ら死を選んでしまう人」もいるとは思いますが、やれることはあるはずです。
そうならないためにも、「なんでそう考えてしまうのか」を考えています。
実体験からくることもあるので、どうか一個人の意見として参考になればと思います。
新型コロナウイルスによって仕事を失ってしまったり、不安な気持ちになっている人もいると思います。
そんな人に僕なりの考えでしかないんですが、「こんな考え方もある」と思って何かの参考にしていただければと思います。
ちょっと長くなってしまったのですが、お付き合いください。
仕事をなくすということの影響

大多数の人は不安になりますよね。
仕事がなくなる→金銭の供給がなくなる→住居や食費など、生活の基盤が脅かされる→不安が生じるという流れですよね。
最悪の場合、自分から死を選ぶ人がいるのが現状であり、社会問題でもあります。
厚生労働省の発表した資料(2018年のもの)によると、日本の年間の自殺者は20,000人以上います。
そして日本医療政策機構という団体は2013年から「経済的要因に起因する自殺への取り組み」というレポートにて「1998年以降経済・生活問題とそれに関連する要因においての自殺者は増加している」としています。
なぜ経済・生活活動とそれに関連する要因の自殺者は増加したのか
これは先ほどの日本医療政策機構のレポートと京都大学の「自殺の経済社会的要因に関する調査研究報告書」から考えました。
簡単に話せる問題ではないのですが、多くの場合は「ストレスからの解放の手段として選ばれた」という場合が多いということです。
多重責務だったり、失業・倒産・廃業から債務返済が困難になってしまったりということですね。
また、一般的に「経済格差が激しくなると自殺率は増える」ということもわかりました。
経済状況によるストレスは人を追い詰めるということです。
では経済が安定し、裕福になれば自殺は減るのでしょうか?
これは一概には言えません。
自殺を選んでしまう人の多くが、単一の理由ではなく平均4つ以上の理由を抱えているという調査結果もあります。
人間関係、職場環境、経済活動によるストレスは身体に影響を与えることも論文にあります。
ストレスは精神だけの問題ではなく、身体的にも影響を与えるのです。
経済状況だけを改善したとしてもこういった問題は解決せず、複合的に考えなければいけない問題なのです。
ですが、経済問題は他の様々な問題にも発展します。
経済の悪化は生活環境に影響を与えます。
「いままでできていなかったことができなくなる」というストレスですね。
当然のように外食もできなくなれば、疾患をなくすために病院にかかることすらできなくなる可能性があります。
また、経済活動が低迷したままでいると、「何年かしたら解決する」という希望的観測すらもてなくなるでしょう。
経済不安はそういった問題へと発展する可能性があるため、自殺と結び付けて考えられるのです。
経済活動の悪化=自殺率の上昇ではない?
興味深い点として、スウェーデンでは「経済活動が悪化した結果、自殺率が増えた」ということとは逆の現象が起きています。
というよりも、日本以外の国では「経済活動の悪化=自殺率の上昇」ということが必ずしも当てはまっていない、ということが記載されています
先ほどの「経済的要因に起因する自殺への取り組み」では、「 日本における自殺の主な原因・動機の一つとして、失業や就職難などの経 済・生活問題が挙げられるが、それが唯一の原因でないことが多い。」としています。
「例え経済活動が悪化したとしても、その他の要因を排除することができれば”自殺という選択肢”を選ぶことがないのではないか?」と言えるのかもしれません。
先ほどのスウェーデンのように経済活動が悪化したとしても、自殺率を少なくすることができたことの背景に「国家として自殺を予防していくことに力を入れた」ということがあります。
基本的なモデルとして
- 心理・教育・社会的な対策による一般自殺予防
- うつ病治療や 自殺リスクが高いと認識された者へのケアなど の間接的自殺予防
- 自殺未遂者(や遺族)に対するケアという直接的自殺予防
があります。
さらに「積極的労働市場政策」として
- 長期失業者を雇う企業に対しての補助金提供
- 違った職種にもつける職業転換訓練の機会の提供
が行われています。
女性の社会参観が進んでいてパートナーが失業したとしても、生活に困窮するパターンが少ないという背景もあるようです。
これらのことからわかるように、「経済活動の悪化=自殺率の上昇」ということは一概には言えません。
ですが、「経済活動の安定・安心=自殺率の低下」ということは確かだということです。
日本の状況は?

現在日本では「新卒一括採用」という慣習があります。
これによって新卒で失敗すると挽回が難しいという現状があります。
正直僕はこれにはデメリットしかないのではないか?と思っています。
というのも、これによって「転職回数の多さはデメリットしか生まない」ということが、まるで当たり前かのようになってしまっているからです。
「転職回数の多さはデメリットしか生まない」ということは、「失敗したら終わり」ということに結びついてしまっています。
「失敗したら他を探せばいい」「自分に合う職場を探す」、という選択肢を排除してしまっているパターンが多いのではないかと考えています。
大切なのは「新卒で失敗したとしても挽回できる」ということと、「転職したとしてもそれはマイナスになることではない」という考えを持つことなのではないかと僕は考えます。
日本の対応策
では日本は現状なんの対策も行っていないのでしょうか?
- 厚生労働省の発表した資料
- 日本医療政策機構の「経済的要因に起因する自殺への取り組み」
- 京都大学の「自殺の経済社会的要因に関する調査研究報告書」
という論文があることから、「年代は違えど、日本も「経済活動の安定・安心=自殺率の低下」ということを考え対策を始めている」ということがわかります。
具体的にどのような対策があるのか見てみましょう
支援・補助
- 就業促進定着着手金
- 障碍者職場復帰支援助成金
- 失業保険基本手当
- 職業訓練寄付金
- 雇用調整助成金
- 生活保護制度
貸付
- 生活福祉資金貸付制度
- 臨時特例つなぎ資金貸付
簡単に検索するだけでも、これだけの制度を行っています。
まぁ社会問題にまでなっているのでなにもしないわけないですよね。
ストレスへの対処が適切でないと問題が複雑になるではなぜこれだけのことをしていて、インターネットの発達したいま自殺者は減らないのでしょうか?
「痛みと心理的ストレスの関係性」という論文があります。
それによると「不安という驚異」があることを説明しています。
「不安という心理的ストレスの身体症状化」があり、段階を経て表面にでてくる、そしてそれはストレスに対して適切な対応ができない場合に現れるとしています。
つまり、ストレスという単一の問題に対しての適切な対応ができないときに、問題はさらに複雑になってしまうということですね。
僕は過度のストレス状態が続いた状態は思考を狭めてしまうと思っています。
さらにストレスは心理的影響、身体的影響の両方をもたらしてしまいます。
健康被害に関しては「ストレスはどのように健康を左右するのか」を見てもらいたいです。
「急性ストレスが選択的注意に及ぼす影響」という論文によると「物理的ストレス刺激には、注意選択性は向上することが多いが、心理社会的ストレスでは選択制は損なわれることが多い。」とあります。
”不安”ということはまさに”心理社会的ストレス”ですよね。
”不安”がある状態ということは選択制が損なわれる。
つまりは様々な刺激から適切な情報を見つける能力が低下してしまうことが多いということだと思います。
経済活動の悪化→不安な状態が続く→ストレスの発生→適切な対処が取れない→心身の不調→過度のストレスを与えられる状態が継続する→さらに適切な情報把握ができなくなる
こうして、最悪の判断をしてしまう人が出てしまうのだと考えます。
なぜ適切な対処が取れないのか?

一番の原因は「イメージ」によるものです。
不安な状態が続くと、様々な刺激から適切な情報を見つける能力が低下してしまうことが多いということは理解できたと思います。
そうなると、「自分の中にもともとあったもの」を発展させてしまう可能性があると思います。
例えば先ほどのように「転職」に対して悪いイメージを持っていると、実際ある情報を集める前に不安を増幅させてしまうでしょう。
そのイメージが本当に正しいのか?
それを改善する手立てはないのかを探るべきです。
”不安”が生まれたときに取るべき行動とは?
まずは”ストレスの発生”を抑える、もしくは正確に把握することにあると思います。具体的に言うと「情報を集める」ということだと考えます。
例えば先ほどの助成金の情報詳しくは別途書くつもりですが、例え失業状態になったとしてもすぐに収入が0になることはありません。
「失業状態になったとして、生活レベルの劣化はあるかもしれないが、突然最悪な環境になることはない」ということが言えます。
では多額の借金を追ってしまった場合はどうでしょうか仕事さえ正常にしていれば徐々に返済していく最悪の場合でも「自己破産や民事再生法」を行うことで状態を改善させることができます。
そういった「状況を改善する可能のある情報」をひたすらかき集めていくことが、まずは取るべき行動です。
その中で不安を取り除いていく、もしくは適切な対処が取れるようにしていくことが重要でしょう。
「失業・多額の借金=すべてが終わる」と考えていると、なにも改善することはできません。
まずは情報を集めるべきです。
なぜ”死ぬ”ことを選んでしまうのか

まずひとつに「失業・多額の借金=すべてが終わる」というイメージによるものが大きいと考えます。
例えばニュースですね自殺ということをニュースでよく取り上げていることは皆さんご存じだと思います。
そして自殺の要因まで取り上げられることもよく目にするでしょう。
その中で自殺というものが日常的に受け入れられる存在になってしまったのではないでしょうか?
「失業・倒産などが原因で自殺」という因果関係は頭の中に刷り込まれてしまっています。
しかし、そこから再起する、改善するということはあまり目にする機会がありません。
稀に自己啓発本のような形で、借金がある状態から再起した人の体験談が出ていますが、それめがけて購入する人でなければ情報が入ることはありません。
ニュースのように「不特定多数の人に発信するもの」ではなく、「求めた人だけが情報を得ることができる」タイプのものが多いということですね。
つまり、「改善できるもの」となんとなくしか知らず、「自分の中で作り上げたイメージが独り歩きする状態」を生んでしまうのです。
そしてその”不安”は”恐怖”となり、”逃げなければいけない、遠ざけなければならない具体的な対象”となります。
選択肢を奪われた人は”逃げる、遠ざける”という行為を取りやすくなるのです。
そうした結果「それに関して思考する」ということをしなくなってしまうのだと僕は考えています。
そしてその終着点が”死ぬ”ということになってしまうのです。
その選択肢が「最も恐怖の対象から遠ざけてくれる救済」のように感じてしまうのです。
逃げてもいい、遠ざけてもいい
ですが、思考停止してしまうのは、もっとも危険な行為です。
”死”というものは救済ではないのです。
”死ぬ”ということは
では”死ぬ”ということはどのようなことなのでしょうか「単純に生命活動が行われなくなったとき」だと思います。
例え何かを残すことができたとしても、その人の状況はそれ以上にも以下にも変えることはできなくなります。
「死後名誉が回復した」ということもよくありますよね。
ですがそれは残された人のためにあるもので、死んでしまった本人の状況は死んだその時を最後になにも変わりません。
死んでから名誉が回復したとして、その人からはもう何も聞くことはできません。
”死ぬ”よりも”回復”することが最善だったはずなのです。
ではどのようなときに人は死ぬのでしょうか
それは「前に進むという選択肢を取ることができなくなったとき」に死を選ぶのだと考えます。
先ほど「最も恐怖の対象から遠ざけてくれる救済」だと考えてしまうということは、「前に進むこと」にはなりません。
前に進むということは、大小あれど、苦痛や困難を伴うものなのです。
そこに対しての救済は”努力”でしかないのです。
前に進むためにはどうすればいいのか
まずは休むべきだと考えます。
人間は常に走り続けることなどできません。
たまに立ち止まって、道を探すべきです。
体力を回復させなければいけないのです。
そして情報を集め、自分がどこにいるのかを探すべきでしょう。
遠ざけてもいいのです。
ですが、前に進むという選択肢だけはとれるようにだけするべきです。
疲労やストレスというものは、選択肢を奪ってしまうのです。
まずは「自分は正常な選択ができない」と考え、休んでください。
そしてたくさん調べ、知ってください。
それからでも遅くありません。
そして周りにいる人にできることは「理解する」ということだと思います。
攻めることでも、ポジティブな意見や言葉を言うことでもありません。
理解し、寄り添うそして前に進もうとしたら一緒に考えてあげてください。
「いまの仕事を失ったぐらいじゃ人間は死なない」のです。
まずは「前に進む」ことができるようにするべきなのです。
いかがでしょうか
僕は身近な人を自殺によって亡くしたことがあります。
その人は鬱でした。
その時から常に「なぜ自殺を選んだんだ」と考えてきました。
そして今回改めて向き合って考えてみました。
その経験から得たことも多分に含んでいます。
もしかしたら僕がこんなことをいろいろ考えても、話してもそんな状態になれば頭に入ってこないことなのかもしれません。
個人的な見解も多く、全ての人に当てはまることではないのかもしれません。
ですが、「いまの仕事を失ったぐらいじゃ人間は死なない」ということだけは皆さんにお伝えしたいと思います。
これによって少しでも気が楽になるようなことがあれば幸いです。
いまのこの状態は、体力を回復させるためにあったのかもしれません。
仕事がなくなったらそれで終わりではないのです。
出典・参考
特定非営利活動法人 日本医療政策機構 「経済的要因に起因する自殺への取り組み」 著者:谷所由紀子
https://hgpi.org/wp-content/uploads/Suicide%20Issue%20HGPI%20Japanese%202013%20Sep%20V5.pdf
厚生労働省 自殺対策https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/index.html
京都大学 「自殺の経済社会的要因に関する調査研究報告書」http://www.esri.go.jp/jp/prj/hou/hou018/hou18a-1.pdf
J-STAGE 「ストレスはどのように健康を左右するのか」 著者:津田彰、牧田潔、津田茂子
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbm/7/2/7_91/_article/-char/ja/
CiNii 「痛みと心理的ストレスの関係性」 著者:堀 寛史https://ci.nii.ac.jp/naid/110007126675
CiNii 「急性ストレスが選択的注意に及ぼす影響」 著者:竹中一平、河原純一郎、熊田孝恒
https://ci.nii.ac.jp/naid/110009562045