こんにちは
これまで「考えたこと」をいろいろと書いていたんですが、具体的に「なにをやってきたか」ということをあまり書いてこなかったので、これからそういったこともお話ししたいと思います。
僕は飲食業で13年働いてきたので、「飲食店経営に関して」という内容になります。
ホント基本的な「経営に関して」の部分なので、応用は効くと思います。
参考になれば幸いです。
損益分岐点

損益分岐点とは「売上と経費がプラスマイナス0になる売上高」のことです。
「この額より上が黒字、下が赤字」ということですね。
これを知るためには固定費と変動費がいくらかを知る必要があります。
- 固定費→人件費、家賃、水道光熱費
- 変動費→原材料費、資材仕入れ費
です。
「人件費って月によって変わるけど変動費じゃないの?」という方もいると思います。ですが、固定費で大丈夫です。
詳しくは今度ちゃんと話そうと思います。
簡単に理由を言うのならば、「席数や店舗の作りによって、必要人数を割り出すことができるから」です。
(ただし、これは「人件費をかけて売上高を増やしたい」というときには違った考えになります。)
(詳しくは【初心者】損益分岐点を知ることは経営の一歩目で説明します。)
なぜ損益分岐点を気にする必要があるのか
損益分岐点を理解しているとざっくりとですが「利益を出しやすい店舗かそうでないか」がわかります。
単純に言うと「損益分岐点が低い店舗は、比較的利益を出しすい」ということです。
もちろん環境要因などもあるので、一概にすべてが、とは言えませんが
損益分岐点を気にするポイントは、「実際に自分が組んだシフト、メニューを活用する場合、どのぐらいの売上高があれば利益を出すことができるか」を知ることができるということにあります。
その売上高を最低目標とすることで、実際に対策を打つことができるのです。
棚卸額と原価

棚卸とは「毎月決めた日に在庫を数え、記録する」ことです。
棚卸をしてでた在庫金額によって、原価を計算することができます。
棚卸をするのは
- 在庫状況の把握
- 実原価と利益の計算
- 整理整頓して無駄がないかの把握
が主な理由です。
棚卸しをすると「原価率を32%で納めるようにしていたけど、35%まで上がってしまった。なんでこんなに上がってしまったんだろう」
という分析をすることができるようになるということですね。
なぜ棚卸額と原価を気にする必要があるのか
飲食店は複数の人が同時に作業をするので、どうしても個人差ができてしまいます。
簡単なものだと、
- 冷蔵庫の置く場所、置き方が違ってしまう。
- それによって発注担当者が正確に在庫を把握できていない状態が生まれる
- 過剰発注になる。もしくは食材ロスが生まれる
という悪循環が生まれてしまうわけです。
それを防ぐために、とても有効なんです。
例えば先ほどの「原価率を32%で納めるようにしていたけど、35%まで上がってしまった。なんでこんなに上がってしまったんだろう」という例で考えてみましょう。
簡単にで結構ですので考えてみてください。
よくある要因としては
- 過剰発注やオペレーションロスによって食材ロスが増えている
- オーバーポーション(ひとつの商品に対して、設定以上の材料を使っている)が増えている
- 材料の大幅な値段変更
- 売上高がなんらかの原因によって想定以上に低下した
- 高原価商品の出品数が増えた、もしくは低原価商品の出品数が減った
といったところですね。
4は「台風など予期しない自然災害」とか「調理に必要な機械の故障によって、提供できる商品数が減った」などがありました。
昨今の新型コロナウイルスなどもそうですね。
これらのように理由がわかる分には、営業を行う際に毎回対策を取れるので簡単です。
ですが、ハッキリとした形でわからないまま無自覚に進行してしまったものは、”棚卸”をして初めて実態を把握することができ、対策を打つことができるのです。
(詳しくは【不正の温床】棚卸額と原価管理を学ぶ必要がある話)
粗利と経営利益

そんなこと言わなくてもわかってるよ!!ってことですが”利益が出ないと店は潰れます”。
利益を出すためには仕組みを知らなくてはいけません。
- 経営利益→売上総利益から宣伝費や固定費を引いたもの
- 粗利→売上総利益とも言う。売上高から原価を引いたもの
ということです。
粗利は単純に「売上高から食材費などを引いたもの」ですね。
作るのに500円かかった商品を1000円で売った場合の粗利は500円になるということです。
例えばちょっと算数の問題みたいになるのですが、
「1200円の時給で働き、1000円の商品を20個売った。商品を作るのには1個500円かかっていて、売るために500円かけてPOPを作った。」
ということがあった場合は
- 売上→1,000円×20個=20,000円
- 人件費→1,200円(時給)
- 原価→500円×20個=10,000円
- 広告宣伝費→500円
- 営業利益→20,000円ー1,200-10,000-500=8,300円
となります。
実際にはこれに税金だったりとか、いろいろなものがかかるのでこんな簡単ではありません。
それこそ家賃だったり、水道光熱費も入ってないですからね
なぜ粗利と経営利益を気にする必要があるのか
本当に個人的にですし、僕の周りだけなのかもしれないんですが、
特にバイト時代から飲食業界で働いていて、「飲食業で働いてお客様の笑顔を見るのが好きです!!」っていう人に多い印象があります。
”利益を出すために行動する”という意識がない人が多いということです。
もちろんそれ自体は素晴らしいことです。
ですが、「仕事である以上すべてお金がかかっている」ということを忘れてしまうと、無駄なお金を使ってしまったり、必要な経費に対して必要以上にお金を使ってしまう可能性があるのです。
お客様がとにかくいれば、店は継続して発展できるのではありません。
お客様がいて、納得してお金を払ってもらって、利益を出すことができて初めて継続して発展することができるのです。
そういった”経営において利益を出すためには無駄なもの”を省くことができるのは、利益を出すことを意識していないとできません。
(詳しくは【実は単純】利益を出すことのできる飲食店の考え方)
人件費率

これは「売上高に対してどれくらい人件費を使っているかという割合」のことです。
僕は人件費額はあまり重要視していませんでした。
人件費額はいろいろな数字を出すために把握しているだけでした。
大切なのは人件費”率”のほうです。
人件費率は「人件費÷売上×100」で計算します。
先ほどの算数の問題を例にすると
- 1200円(人件費)÷20,000円(売上)×100=6%(人件費率)
となります。
なぜを人件費率を気にする必要があるのか
なぜ人件費”額”を気にするのではなく、人件費”率”を気にするのかの答えでもあるのですが、それはすごく単純な話なんです。
売上高100万で必要な人件費額と、売上高500万円で必要な人件費額は同じでしょうか?
違いますよね。
そこで「会社から人件費額を35万以内で納めろって言われてるから…」と言って、35万しか人件費を使わなかった場合に500万の売り上げを上げることなんて不可能でしょう。
目標とする売上高に必要なシフトを組み、それの人件費率を出すことで人員の過不足を知って最適化する。
人件費とはそうやって使うものだと考えています。
(詳しくは【思い付きは悪】人件費は考え方次第で変動するものという話)
費用対効果と投資対効果

費用対効果とは「使った費用に対してどれくらいの効果があったか」ということです。例えば売上高が500万の店舗があったとします。
そこで100万円の宣伝広告費を使って1000万円まで売上を上げることができた場合その広告宣伝費には400万円の利益を上げる力があります。
投資対効果は「投資した費用によってどのくらい効果を出すことができるか」ということです。
売上高が600万円で客数が2,000名の店舗で設備の入れ替えによって200万円の投資をした。
それによって年間で2,000名の客数増加をすることができ、400万円の売上を出すことができた。
となった場合、200%の利益を向上させる力を持つことになります。
こうやって見ると”円”で換算するのか、”%”で換算するのかの違いがあるように見えます。
わかりやすくするために分けましたが、一番の違いは
- 短期的な目線で効果を見るのが「費用対効果」
- 中長期的な目線で見るのが「投資対効果」
という違いです。
なぜ費用対効果と投資対効果を気にする必要があるのか
売上を上げるという段階で気にするのは「これをやった結果、どのくらいしたら効果が表れるのか」ということでしょう。
例えば看板を新しく置く、新メニューの販促などですね。
それに対して”看板”は置いてすぐに効果を観測できる性質のものでしょうか?
もちろん目に見えてすぐに効果を見ることはできますが、看板は普通ずっと置いておくものですよね。
毎月看板を買い替えるような店なんてないでしょう。
そういったときの効果は「投資対効果」で見ます。
20万円の看板を置いたことで、「通行人に動線を変えること」ができ、年間で200万円分の売上を向上できました。
つまり、200万(売り上げ)-20万円(看板代)で180万円の利益につながります。
その20万円は900%の利益を生み出す力があるということです。
新メニュー開発をして20万円の販促をしたとします。
1か月間限定で店頭の看板にポスターを張って売り出すことで、「1か月間そのメニュー単体」で100万円の売上になりました。
その場合、その20万円の費用は80万円の利益を生み出す力があるということになります。
大切なのは「」の部分です。
投資対効果で期待するのは「通行人の動線を変えること」などの「店舗自身の力やブランドイメージを向上させることで中長期で効果を出す」ということです。
対して費用対効果では「1か月間そのメニュー単体」など、「テコ入れや宣伝など、短期的な販売戦略によって数字を変える」ことを期待して行うものなのです。
その違いを把握していないと、自分がやりたい戦略と資金を使うための説明の整合性が取れず、周囲から理解してもらえないこという結果につながりかねないのです。
(詳しくは【販売戦略】費用対効果を計算して考えてみた)
いかがでしょうか
これからはこういった実技的な「学んだこと」も書いていきたいと思っています。
- 損益分岐点→利益を出すことのできる金額を知ることで、目標に対する施策を打てるようにする
- 棚卸額と原価→棚卸をして原価を把握することで、無駄をなくすことができる
- 粗利と経営利益→行動によって利益が生まれることで、効果のある行動を意識できる
- 人件費率→変動する売上に対して、人件費を的確に使うことができるようにする
- 費用対効果と投資対効果→自身の戦略に対して、整合性のある理由付けと資金の使い方ができるようになる
ということです。
僕が主に勉強させたいただいていたサイトも貼っておきますので、参考にしてみてください。
TRANS.Bizhttps://biz.trans-suite.jp/
店舗経営レシピブックhttps://recipe-book.ubiregi.com/