「マネジメント=管理」と思っていたら通用しなかった話

考えたこと

こんにちは

前回、『マネジメントに必要なのはあなたが絶対的なヒーローのように活躍することではありません。
必要なのは「全体の業務を円滑に行うための教育」であり、「怒る」と「叱る」を使い分けて、「教育」の量を増やしていく。
それが僕の思うマネジメントです』
とお話ししました。

これは「教育が大切だから、マネジメントする側はとにかく教育をしていればいい」という意味ではありません。
かと言って表題通りマネジメント=管理ではありません。

結論マネジメントは“管理する、教育する”という意味じゃない。“成果をあげるため”に行うことだということです。

僕は飲食業界で13年働いてマネジメントもそれなりにしてきました。
飲食業界のことしか知りませんが、それ以外の業界で働いている人は自分の業界に当てはめて考えてみたら面白いんじゃないかと思います。

  1. マネジメントするうえで求められる能力
  2. マネジメントをするなら“ヒーロー”になることは諦めろ
  3. 人は「欲望を叶えたいとき」に行動する

今回はこの順番で話してみたいと思います。

僕は「マネジメント=管理」と思っていたときに、とにかく口うるさく数字のことを言って全体をマネジメントしている気になっていました。

その結果周りから見ると「口うるさい人」「言う通りにしないと怒る怖い人」となって、結局十数人いたチームの内のほんの数人しか同じように努力してくれる人がいなくなってしまいました。

そんな失敗を繰り返していくうちに「マネジメントって数字の管理だけじゃダメなのかもしれない」と気付いた、という話です。

どうかお付き合いください。


マネジメントするうえで求められる能力

僕はこれまでマネジメントで何度も失敗しました。
そこで、「マネジメントの能力ってそもそも何だろう?」ということを考えてみました。
結果としてマネジメント能力とは、管理能力、意思決定力、発想力、行動力、継続力をそれぞれ掛け合わせた能力である、という結論を出すことができました。

マネジメント能力=管理能力×意志決定力×発想力×行動力 ×継続力

重要なのは「掛け算であること」です。
足し算ではありません。

ひとつひとつどんな力なのか簡単に確認してみましょう。

管理能力

言葉の通りですが「データから業務に関わることを管理する能力」のことです。
僕がマネジメント=管理ではないと言った理由はこれです。

管理はマネジメントの一部でしかないという考えですね。
数字の管理がマネジメントのすべてだと思っていると、僕のようにただただ口うるさい人になってしまう可能性があるので注意してください。

これには自分や周囲の人の体調管理や業務の成果の管理、進捗などのスケジュール管理等あらゆる事柄に対する管理をする能力があるかです。

ツールは正直なんでもいいと思っていますが、企業で働いている人間はPCの操作ができないと管理がままならない部分もあるため、必要最低限のPCスキルを持っている必要もあるでしょう。

意志決定力

これは判断力と言い換えてもいいかもしれません。

なにか判断に迫られたとき、次の工程に必要なものを判断する、部下や後輩の行動を成否を判断する。

マネジメントというものはとにかく判断する場面が多いです。
そのため、この力はすごく重要な能力です。

マネジメントで必要だと一般的に語られることの多いリーダーシップは意志決定力と行動力の総合力なんじゃないかと僕は思っています。

マネジメントは多くの場合、グループのリーダーだったり、上長が行っていると思います。
マネジメントを行う側が優柔不断であったら、チームは動けません。

多くの組織は、マネジメント側であるあなたに裁量権があるため、意思決定力を磨くことは必須となります。

発想力

これはなにか行動する際に、どんなことが必要なのかどんな課題があるのかなど、あらゆることを考え出すことのできる能力です。

他にもプレゼンでなにを言えば相手に響くのか、という言葉のチョイスなどもここに入ります。
想像力と言ってもいいかもしれません。

これを持っている人はリスクを考えることができるため、リスクマネジメントに長けています。
反対に相手にメリットを想像させることもできるでしょう。

教科書通りに仕事をすることが正解なときもありますが、仕事は毎回置かれた状況が同じとは限りません。
例えばクレームが発生してしまったとき、不慮の事故で業務が遅延、もしくは不可能になってしまったときにどんな行動をとればいいのかは、その時々によって違います。

そんなときにどうすればいいのか、どんな選択肢があるのかを考えることのできる発想力が、マネジメントをする側には必要でしょう。

経験を積み重ねることで様々な選択肢を身に着けることができます。
ですが、経験が浅いうちでも、学んだことを瞬時に引き出すこと、人の失敗談を聞いて自分だったらどうするかを考えることで、経験を補うことができます。

教科書を丸暗記しても、必要な時に必要な情報を引き出せなければ意味がありません。
その引き出す力が、発想力です。

行動力

これも単純です。
なにかに向けて行動する力のことです。

先程「リーダーシップとは意志決定力と行動力の総合力だ」ということを言いました。
行動力を持つ人は自ら進んで動くことができるため、人を先導する立場であることが多いです。

そのためリーダーシップには行動力を持っている必要があるのです。

あなたがものすごい時間、ものすごい量勉強して、様々な知識を身に着けていたとしても、行動しない人間にはなにも変えることができません。

あなたがマネジメントする側で、グループの中心人物だった場合、行動力を示していくのは必ず必要になるでしょう。
なにも行動しないで、あーだこーだと命令だけする人の話すことを人は聞くでしょうか?

苦境に立ったチームを救うのは行動することです。
チームをさらに伸ばしていくのに必要なのも、行動することです。

継続力

なにか新しいことを始めるときにそれを継続して努力することのできる能力です。
例えば会議で「業務効率を上げるために新しい取り組みをしよう」ということで決まった施作があるとします。

マネジメントする人間はその施作の成果が出るまでは継続して行う必要があります。
どんな部下よりも継続し、上長に報告するという義務があるのです。

また、マネジメントする側にいる人間には分析することが必ずついて回ります。
あなたの考えた施策を検証し、分析するためには一定量のデータが必要になります。

思い付きでの行動を何度もする人は行動力も発想力もあるかもしれません。
ですが、毎回言っていることが違う人に振り回される側はたまったものではないとおもいませんか?

マネジメントする側には、データを取って改善していくためにも継続力が必要となるのです。


どうでしょうか

なんとなく理解してもらえたでしょうか

マネジメントをするなら“ヒーロー”になることは諦めろ

これは以前にも書いたのでそちらを参照にしてください。

マネジメントをするなら“ヒーロー”になることは諦めろ

現在マネジメントを行う人の多くがプレーヤーとして働いている人も多いでしょう。
大変な労力だと思います。

チーム全体としての成果をあげるために努力しているのに、会社からは個人としての成績も求められる。
部下からも上司からも評価される板挟み状態。
その心労は計り知れません。

ですが、僕はそれでも“ヒーロー”を目指すべきではないと考えています。
中にはチーム全体の評価も上げつつ、個人としても大変な成績を上げているそれこそ“ヒーロー”のような方もいるでしょう。

ですが多くの人はそうではありません。
あなたがパンクしないようにするためにも、“ヒーロー”であることは一度諦めてください。

まずは自分じゃない他の人を“ヒーロー”にするのです。
”ヒーロー“になるのを目指すにはそれからで遅くありません。

そうは言いましたが、”ヒーロー“憧れる気持ちはものすごくわかります。
なんと言っても格好いいですよね。

”ヒーロー“になったあなたは、誰からも好かれ、頼られ、人々をどんどん巻き込んでいき例えばひとりになってしまったとしても、大変な成果をあげるでしょう。

ですが、大半の人はヒーローになる前にパンクしてしまうのです。
そしてヒーローであろうとした結果、裸の王様状態になってしまうかもしれません。

そんなリスクを取るぐらいなら僕は”ヒーロー“になろうとする努力をやめます。

人を育て、成果を上げて、「みんな気付いてないかもしれないけどあの人ほんとすごいよね」と言われる”結果としてヒーロー“のようなものでいいのです。


人は「欲望を叶えたいとき」に行動する

では”人を引っ張れるヒーロー“でない人はどうやって人を巻き込んだり、先導すればよいのでしょうか。
それは人が動く理由を知るということです。

僕が考えたのは人は欲望を叶えたいときに行動するということです。

もっと高い給料をもらえるようになりたい。
あの人に認められたい。
外車や高級マンションに住みたい、という欲ですね。

この「出世欲」とか「承認欲求」、「所有欲」があると人はそれを手に入れるための努力をします。
反対にいつまでたってもなにもしない人もいます。

もっと楽したい、ダラダラしたい、頑張らないで生きていきたい、というような欲もあると思います。

「なにもしない」ということをメリットのある行動として選択しているんです。

例えば部下に努力もしないし、何度言っても動こうとしない人がいたとします。
「なんで努力しないのかわからない」
「そのままでいいと思っているのか」
「こんなに怒られるのが嫌ならなんで努力しないんだ」
と思うかもしれません。

自分の経験から努力しないと出世もできないし、給料も上がらないし、なにしろ周りに迷惑をかけることがわかっているのでそう指導をするでしょう。

ですが、なにを言っても相手に響かないという経験をしたことがあるでしょう。
正直に言ってしまうと、そういった人がなにを思っているのかというと
「このままでいい。」ということです。

こんな言い方ではないのかもしれませんが、簡単に言ってしまうと“努力した先にあるものを必要だと感じていない”のです。

現状で満足していたりとか、もしかしたらあなたの働いている会社でそもそも長く働くつもりがないので、そこで努力する必要を感じていない可能性もあります。
「確かにもっとお金はほしいけど最低限もらってるし、プライベートも充実してる。
それがなくなるくらいならあえて行動する必要なんてない。」
といったところでしょうか。

つまり「動かないという選択肢」の方が、「動くという選択肢」よりもメリットがあると感じているのです。
行動した結果うまくいくかわからない、行動したって評価してもらえるのかもわからない。
そんな状態でいったいメリットを感じることができるでしょうか?

なぜメリットを感じないと行動をできないのか

それはまず、あなた自身が模範となって行動できているのか、が重要です。

確かにこのような「なぜ周りの人は動かないのか」という悩みを持つ人は大変な努力をしている方だと思います。
ですが、それは自分を基準として自分のやり方を押し付けているにすぎません。

「努力は必ず報われる」世間ではこう言われていることが多いでしょう。
そして上記のような人はもしかしたら、この考えを大切に胸に秘めている可能性もあります。

ですが、あえて言います。

「努力は報われるとは限らない、正しく努力しない限りは」

「努力は必ず報われる」のであれば、なぜ動かない人に対してもっと真摯に向き合わないのでしょうか。
もっと努力して相手の考えを受けいれ、わかり合ったうえで「動く人材になってもらう」のが筋ではないのでしょうか?

あなたは「努力しろ」と言いますが、後輩や部下に向けて「理解してもらおう、理解しよう」という努力はしたのですか?
それをしていないのであれば部下や後輩からは「あの人はなにを言っても理解してくれない」という評価でしょう。

部下や後輩からしたらあなたこそ「何を言っても行動してくれない人」なのかもしれません。
そういった状態ではあなたが提示したメリットなど、部下や後輩からしたらなにもメリットには思えないことでしょう。

まずはあなたが模範となるように努力すべきなのです。
仕事に対してひたすら努力を重ねてきたのですから、後輩や部下と話すなんて造作もないことでしょう。

ひたすら努力の量を重ねてください。
それから、あなたが思う「努力したら手に入るメリット」を提示してあげてください。

きっといままでとは違った答えが返ってくるでしょう。
そしてあなたがいるチームはあなたがした「理解する」マネジメントで、人がどんどん動くようになります。

「教育しよう」「とにかく管理をしよう」ということをやってきたときよりも個人個人のレベルが上がり、大変な成果をあげることができるはずです。

それはあなたが「成果をあげるために」と常に努力し続けてることができたからです。

そのときに初めてあなたは後輩や部下から“ヒーロー”として見られるのかもしれません。


まとめ

いかがでしょうか

  1. マネジメントするうえで求められる能力
  2. マネジメントをするなら“ヒーロー”になることは諦めろ
  3. 人は「欲望を叶えたいとき」に行動する

という順番で話してきましたが、

「マネジメントは“管理する、教育する”という意味じゃない。“成果をあげるため”に行うことだ」
理解してもらえたでしょうか。

マネジメントは管理するという意味でも、教育するという意味でもありません。
どうすればチームとして成果をあげるのか、ということをひたすら突き詰めてくことです。

そしてマネジメント能力とは、5つの能力の掛け合わせでできているものです。
どれかひとつを伸ばすのではなく、バランスよく伸ばす必要があります。

そして、これまで何を言っても動いてくれない部下を理解する努力をして、あなたのチーム全体を動かしていくのです。

正しい努力を積み重ねたならば、必ず状況は改善されると思っています。
マネジメントとはなにか、それは成果を上げるために行うことです。
失敗したとしても、それを糧にして前に進んでいきましょう。

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